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小説【ランドギア】第10話

再び時間が動き始めた


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第10話



小屋の中から1人の女性が現れた

「リオン!?どうしたの!!?びしょ濡れじゃない!」
驚いた表情で女性は聞いてきた

優しそうな感じの小柄な女性だ


リオン「はい、マーサ。実はこの方々と旅をしている途中大雨にやれてしまい」

マーサ「わかったわ。とにかく早く中へ」


中に入ると意外にも広い空間が拡がっていた
マーサは暖を取り着替えも用意してくれた

暖かい

少し落ち着いてからクロとロアも挨拶を済ませた


マーサはこの家(隠れ家)を仕切るビッグマザー
身寄りが無い子等を預かって育てている

そういった施設のような所らしい


そしてリオンが口を開いた

リオン「マーサ、【考える書物】の在り処が分かりました」


マーサは驚いた表情で聞き返してきた


マーサ「あれが?本当に存在してたのね」

リオンはこれまでの経緯、
そしてカルナックに向かおうとしている事も説明した


リオン「僕はこのチャンスを必ずものにしようと思います」

マーサ「あなたが3年前ここに来た時から探してたものね」

リオン「僕は何者なのか知りたいのです」

マーサ「忘れないで。それでもあなたはリオンなのよ」

リオン「はい。僕は僕です。」


ここは身寄りが無い子を預かる場所

そして3年前にここに来た

という事はリオンはここ出身という事になる・・・?

何よりもさっきの会話からすると
リオンは自分の正体、つまり何者であるかを知りたい

【迷い子リオン】

ナイトからそう呼ばれているらしい
恐らくライカがリオンの事を噂で聞いていたのなら納得いく


マーサ「思えば3年前あなたが記憶を失いこの施設の近くで倒れてたわね」

リオン「あの時僕は自分の名前さえ分かりませんでした」

マーサ「あなたには勇敢なる者という意味でリオンと名付けたわ」

リオン「今でも感謝しています」

マーサ「あなたの願いが叶う日が来る事を心から祈っているわ」


リオンは年齢以外思い出せなかったらしい
そして名前はマーサがつけてくれた

その事にリオンは深く感謝し気に入っている

それでも自分が何者か知りたくてハンターをしている


この3年間
色々試したが記憶は戻らず


考える書物の事を知ってからは
リオンは必死になって追っていたのだった


しかし中々有力な情報を掴めないでいた

そして今回カルナック王が公式に発表したのだった
リオンにとって千載一遇のチャンス


何よりも知る事への恐怖は微塵も無かった


(しばしの沈黙)

他の部屋から小さな女の子が出てきた


女の子「あ、リオンにいちゃん!!」

リオン「アンちゃん」

アン「おかえりなさい!!」

リオン「うん。元気してた?」

アン「ワタシ良い子してたよ」


アンというのは8歳の女の子
この子もまた身寄りが無くマーサの家に引き取られた

他にも何人かいるらしいが
今はお昼寝の時間で寝ているらしい


マーサ「雨が止んだら出発するの?」

リオン「そのつもりです」

アン「えぇーヤダよぉ。リオンにいちゃんと一緒にいたい」

クロ「リオンくんは人気だね」

ロア「まぁ分かるけどな」


雨が止めばいつでも出発できる
残り4時間の距離

暗くなるまでに到着するには早く出たい


しかし


一行の考えとは裏腹に大雨は止む気配が無かった

そして段々辺りは暗くなり
雨は勢いを増しながら赤い空(空間)が拡がるのだった


これでは出発は難しい


マーサは快くクロ達を泊めるのだった



続く


by osaka819 | 2020-08-21 00:08 | 小説 | Comments(0)